文献詳細
絵で見る免疫学 基礎編(52)
宿主と病原体の攻防(2) 細菌の逆襲
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術 2栄光病院
ページ範囲:P.334 - P.335
文献概要
細菌は鞭毛を回転させてターゲット細胞に近づき,線毛,タイコ酸やM蛋白質でしっかりと細胞表面に吸着する.細菌表面のリポタイコサン/M蛋白質は宿主細胞表面のフィブロネクチンに,フィブロネクチン結合蛋白質はフィブロネクチンに,熱ショック蛋白質は糖蛋白質にそれぞれ結合する.細胞にはエンドサイトーシスとエキソサイトーシスという現象がある.前者は細胞表面膜の一部が陥没して細胞表面に吸着されていた物質や分子を包み込んで細胞内に小胞(エンドゾーム),食細胞では食胞(ファゴゾーム)を作りこれに取り込む現象であり,食細胞の貪食作用もこの例である.エキソサイトーシスはこの逆で,排出作用である(図1-a).細菌はこの現象に紛れて細胞内に侵入したり,感染細胞から脱出して近隣の細胞に侵入したりする.細菌のなかには菌体内蛋白質を細胞内に注入して上皮細胞やマクロファージに強制的にエンドサイトーシスを起こさせてこれらの細胞に侵入する(図1-b)ものもあり,病原性大腸菌,赤痢菌,サルモネラ,エルシニア,クラミジア緑膿菌,百日咳菌などがある1).
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