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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻4号

2004年04月発行

文献概要

失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法 細胞診のアーティファクト 染色によるアーティファクト

(1) ヘマトキシリン染色液未濾過による沈着物

著者: 阿部仁1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.356 - P.357

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何やら無機質の青紫色の物体が標本となっている.これは一体何で,何から生じたのか.

考えられる原因

 ハリスのヘマトキシリン(Harris hematoxylin)液は水銀を含むため廃棄処理の問題から現在は主にギルのヘマトキシリン(Gill hematoxylin)液を用いている施設が多い.ギルのヘマトキシリン液の組成は,ヘマトキシリン以外に硫酸アルミニウム,エチレングリコール,ヨウ素酸ナトリウムが含まれている.このうち,エチレングリコールは保存剤として用いられ,染色液中の沈澱物を減らし,酸化を遅らせて過剰酸化を起こりにくくし,染色液の劣化を防止する作用がある.しかし,染色槽内のヘマトキシリン染色液は空気酸化による過剰酸化が起こりやすい.このため空気との接触面である染色液表面に浮きかす(ぎらぎらした膜)が生じてしまい標本に付着することがある(図2,3).過剰酸化の進んだヘマトキシリン液は染色性にも影響を及ぼし核の染色性低下や共染の原因となることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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