文献詳細
技術講座 血液
可溶性フィブリン・可溶性フィブリンモノマー複合体の測定
著者: 島津千里1 宮澤幸久2
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院中央検査部 2帝京大学医学部臨床病理学
ページ範囲:P.401 - P.408
文献概要
凝固亢進状態を反映する新たな分子マーカーとして,フィブリノゲンにトロンビンが作用し血栓形成に至る過程の中間産物である可溶性フィブリンと可溶性フィブリンモノマー複合体の精密検査試薬が開発され,モノクローナル抗体を使用したラテックス凝集法,蛍光酵素免疫法による3種類が発売された.播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)をはじめとする血栓塞栓性疾患におけるトロンビン生成,フィブリン(血栓)形成の指標として早期診断,予後判定での有用性が確認され注目されている.
一方,凝固線溶亢進病態下でのフィブリンモノマーの血中存在様式は,プラスミンやフィブリン分解物などとの複雑な関連性が示唆されるがその詳細は明らかではない.このためモノクローナル抗体の認識する部位が異なる試薬間では,病態により異なった動態を示す場合があり,DIC診断基準の作成や測定法の標準化において問題となっている.
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