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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻5号

2004年05月発行

絵で見る免疫学 基礎編(53)

宿主とウイルスの攻防(1) ウイルスの侵入

著者: 高木淳1 玉井一2

所属機関: 1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術 2栄光病院

ページ範囲:P.432 - P.433

文献概要

ウイルスの構造

 ウイルス(virus)は単純なものは遺伝子を構成する核酸(DNAまたはRNA)とこれを取り巻くカプシド(capsid)蛋白質すなわちヌクレオカプシドのみで構成されているものと,さらにヌクレオカプシドを脂質二重膜のエンベロープで覆っているものとがある.ウイルスは宿主細胞外では生命のないビリオン(virion)と呼ばれる単なる粒子であるが,いったん固有の宿主細胞に侵入するとビリオンの構造を規定した核酸の遺伝情報が宿主細胞のリボソームや酵素などを借用し,自己複製や増殖をする細胞内寄生体である.ウイルスの核酸はDNAのものとRNAのものとがありそれぞれをDNAウイルス,RNAウイルスと呼ぶ.

 ほとんどすべてのDNAウイルスは二本鎖DNAを保有しているが,B型肝炎ウイルス(hapatitis B virus,HBV)は不完全なDNAを持っている.RNAウイルスはRNAが一本鎖か二本鎖か,あるいは分節しているか,さらにセンス(+鎖)かアンチセンス(-鎖)のタイプがある.+鎖は侵入後そのままmRNAとして蛋白質を合成する.一方,-鎖RNAを持つウイルスは,感染細胞で+鎖RNAを産生させなければならないので,ヒトにはないRNA依存性RNAポリメラーゼを必ず持っており,宿主細胞内に自身が持ち込んだRNAポリメラーゼでmRNA(+鎖)を作り,次いでRNAポリメラーゼを作り,引き続き+鎖や-鎖を合成する.分節型RNAの例はインフルエンザウイルスであり,-鎖RNAが8本に分かれている(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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