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文献概要
失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
固定時に生ずるアーティファクト 固定不良―固定不良対処法としての乳腺メタノール-ホルマリンの効果
著者: 吉村忍1
所属機関: 1防衛医科大学校病院検査部病理
ページ範囲:P.466 - P.468
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乳癌手術による乳房摘出検体は胸壁側への浸潤を観察するため摘出直後には切り出しは行わず,ある程度全体を固定してから切り出しを行う事例が多い(図3).その間,腫瘍部分はホルマリンとの接触は少なく徐々に自家融解が起こり細胞自体が壊れやすくなっている(図4).自家融解の影響が強い状態でのホルマリンによる通常の固定条件で脱水・パラフィン包埋処理を行うと,腫瘍細胞は左図のように収縮して細胞間結合が離され,バラバラになった状態となり所見を取る際に大きな問題となる.
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