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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻6号

2004年06月発行

文献概要

検査じょうほう室 血液 血液染色のコツ

鉄染色

著者: 坂東史郎1 新家敏之1

所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.538 - P.541

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 はじめに

 1941年にGrunbergは,Perlsにより開発されたベルリン青法(Berlineblau,Purssian blue)を応用して血液塗抹標本の鉄染色を行い,可染鉄顆粒を持つ赤血球をsiderocyte(担鉄赤血球)と命名した.

 1947年にMcFadzeanら1)は骨髄塗抹標本に応用し,赤芽球の可染鉄顆粒を証明した.これをKaplanはsideroblast〔(担)鉄(赤)芽球〕と命名した.ある種の血液疾患で赤芽球内の可染鉄顆粒が核の周囲に輪状に存在するsideroblastが報告され,1961年にBowman2)によってringed sideroblast(環状鉄芽球)と命名された.

 ringed sideroblastは赤血球内での鉄代謝異常,特にヘム(heme)合成異常に関連し,鉄芽球性貧血(sideroblastic anemia)の診断に用いられてきたが,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)の病型診断においてもその存在の確認は必要不可欠のものとなってきた.

 鉄染色はほかにターンブル青法(Turnbull blue)がある.ベルリン青法より鋭敏であるが,操作の煩雑さや特異性に関して問題が残されていることなどにより,現在は,ほとんど用いられていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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