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学会印象記 第53回日本医学検査学会
富山学会の印象を“ひらめき”に
著者: 柴田宏1
所属機関: 1島根大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.683 - P.683
文献購入ページに移動さて,今回の学会参加には大事な使命があった.2年後の2006年5月19日(金)・20日(土)にはわが(社)島根県臨床衛生検査技師会担当で島根県松江市において第55回日本医学検査学会(島根学会)を開催することが決まっている.しかもこの私が実行委員長である.そのための情報収集・視察を行わなければならないのだ.前日の総会,ナイトセミナー,および夜は富山の旨いもの視察から始まり,学会1日目午前中は学会展示会場に行き,島根学会の下瀬学会長らとともに各業者へ2年後の展示協力のお願いと,今回の展示ブースの感想を聞きつつ島根の展示会場のアピールも忘れずに行った.午後も会場視察と懇親会へ.懇親会では大勢の参加者で身動きできないくらいであったが同じ大学の先輩・後輩や元日臨技会長の下杉先生らと久しぶりにお話しでき,島根学会への協力をお願いできた.2日目も各会場の視察に明け暮れ,学会発表は自分の施設の演者の発表も十分に聞くことができなかった.比較的ゆっくり聴講できたのは学会前夜のイブニングセミナー「ヨーロッパにおけるPOCT検査」であった.POCT(point of care testing)の普及は各国の医療制度と無関係ではなく,ヨーロッパの状況は日本と類似して米国ほどは普及していない.また,フランスでは患者様にメリットのあることが証明されないと使用できないとの法的規制もあるそうである.POCT普及の背景は病院経営と関連しており,欧州でも病院検査室が圧縮されている状況がある.血液ガスや尿検査,凝固検査についてPOCTの有用性が高いとの話もあったが,試薬代が高価,検査記録の欠如=請求がされていない,余分な検査(臨床医の多くは検査室のデータを信頼しており,POCTを行いつつ検査室にも依頼をするなど二重検査の可能性がある),熟練度(検体の品質については臨床検査技師がベスト),病院システムとの接続により連続した記録が必要などの問題点についても講演された.POCTの試薬や機器は臨床検査技師が責任を持ってメンテナンスやコーディネートする必要性のあることや私の思っていた問題点が確認できたことは有意義であった.ひとつ残念なのは同時通訳の方が「臨床検査技師」を「technician」と訳していたことで,われわれは「technologist」であるといいたかった.これら業者主催のイブニング・ランチョン・モーニングの各セミナーはどこも盛況であり,島根学会でも多くの業者にセミナーを開催していただけるようにしたい.
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