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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻8号

2004年08月発行

文献概要

技術講座 病理

圧力鍋を用いた抗原賦活化法

著者: 丸川活司1 森谷純1 清水幹雄1 太田聡1 伊藤智雄1

所属機関: 1北海道大学病院病理部

ページ範囲:P.705 - P.710

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新しい知見

 現在免疫染色を行う際に必須の方法として抗原賦活化法が挙げられる.一般に広く行われている熱による抗原賦活化法としては温浴法,単純煮沸法,マイクロウェーブ(microwave,以下,MW)法とオートクレーブ法が挙げられる.

 温浴法,単純煮沸法,MW法では標本の温度分布が一定せず,1気圧の中で加熱するため,最高約100°Cまでしか緩衝液の温度を上げることができない.一方のオートクレーブ法では圧力鍋と同様に加圧した状態で加熱するため,約120°Cまでの加温が可能であるが,加圧,減圧に時間がかかるためにアルカリ性の緩衝液で賦活化を行った際の切片の損傷が強く,標本の品質が低下する欠点がある.

 それぞれの欠点を補ったのが圧力鍋を利用した抗原賦活化法である.圧力鍋による抗原賦活化法は,1994年にA.J.Nortonらによって報告されたが,わが国ではほとんど普及していない.圧力鍋では,短時間でムラなく加熱が可能になり,最低限の組織損傷で強力な賦活化が可能である.多種類の抗体に応用可能で,手技の単純化にもつながる.非常に優れた賦活化法であり,ここに紹介したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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