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検査データを考える
薬剤感受性検査成績の臨床への応用
著者: 青木泰子1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター内科
ページ範囲:P.759 - P.762
文献購入ページに移動薬剤感受性検査(以下,感受性検査)は微生物検査室で最も多く行われる検査の一つであるが,依頼頻度は施設によってさまざまである.培養同定検査とほとんどセットでオーダーされる施設もある一方,特殊な症例に限ってしか依頼のない施設もある.また,一部の菌種については,オーダーの有無にかかわらず,感受性検査の対象としている施設も多い〔黄色ブドウ球菌中のMRSA(meth-icillin-resistant Staphylococcus aureus,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の頻度など〕.
日常業務の中で,医師からの結果の催促や,結果の解釈についての問い合わせの多い項目でもあろう.医師の無知や無理解に腹を立てたり,伝えたいことが正確に伝わってないもどかしさを感じられることがあるのではないかと思われる.また,オーダーに従って検査をしつつも,本当にこの検査は必要なのか,治療の役に立っているか,という疑問を感じている場合も多いはずである.
一方,医師の側でも,検査結果はわかりにくいし,間に合わないし,でもやっぱりしないと…と何かすっきりしない思いを抱いていることが多い.これら双方の不満は,感受性検査の意義と限界を認識していないことに由来すると思われる.筆者は基本的には臨床医として検査を依頼する立場にあるが,検査室のコンサルタントでもあり,ICD(infection control doctor,インフェクションコントロールドクター)としてサーベイランスにも関わっている.双方の事情を知る者として問題を整理し,感受性検査の限界を踏まえたうえで治療やサーベイランスに有効に活用するための「ちょっとしたコツ」を考えてみたい.
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