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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻9号

2004年09月発行

文献概要

オピニオン 病理部門の臨床検査技師の今後を考える 第5回

「病理検査士」の意義と育成の可能性

著者: 林透1

所属機関: 1宮崎県立宮崎病院臨床検査科病理

ページ範囲:P.815 - P.815

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 病理部門での臨床検査技師の将来像について,種々の議論がなされているが,近年米国の一部で取り入れられているpathology assistant(以下,PA)をモデルとして病理を担当する技師の業務拡大,その有資格者である「病理検査士」のありかたについて病理学会においてもシンポジウムがもたれた.筆者も同学会でシンポジストとして発表する機会をもつことができたのでその骨子をまとめてみた.

 筆者の勤務する病院は病床数630の総合病院である.病理部門では5名の臨床検査技師(うち2名は細胞診担当)および病理医2名で業務を行っている.病理医は自ら臓器撮影,組織標本作製のための切り出しを行い,症例においては組織像をも加えた組織診断報告書を作成している.臨床各科とのカンファレンスは連日のように続くが,これらの画像を用いた報告,カンファレンスはハイビジョン入力機器を導入した1996年より本格的に開始し,臨床医の症例解析や学会発表のための画像提供も積極的に行っている.また臨床画像も一部の症例では病理でもファイリングし病理学的な考察,疾患概念理解に役立てている.時には臨床画像の解釈に病理医としての意見を求められるなど,当院においては臨床家の診療意欲,さらには診療レベルの向上に貢献していると自負している.病院勤務の病理医は診療医の業務と密接に関わりながら症例解析にあたるべきで,組織所見のみで診断を行い,組織所見についてしか議論できないいわゆるslide pathologistは不要である.このためには病理医自ら臓器に向かい,組織標本作製のための切り出しを行い,肉眼所見を組織像を通して解析・総括し臨床画像,臨床像に還元しなければならない.PAの業務にはこの切り出しが含まれており,さらには組織診断のスクリーニングも行うことも考えられる.これは深刻な病理医不足にある病院ではある面否定するものではなく,その業務を行っている臨床検査技師の高い資質には敬服するものである.しかし「病理検査士」の将来像として中心におくべきものであろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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