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文献詳細

雑誌文献

検査と技術32巻9号

2004年09月発行

文献概要

今月の表紙

百聞は一見に如かず・9 飲酒と食道癌

著者: 松谷章司1

所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断部

ページ範囲:P.839 - P.839

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 がん発生には,環境因子と体質的因子が関与しています.食道癌の発生にはアルコールとたばこの関与がよく知られていますが,大飲酒家や重喫煙者すべてが発癌するかというとそうでもないことも事実です.最近,体質的因子として,アルコール代謝関連酵素の遺伝的多型が食道癌に関与していることが明らかになってきました.ここで,国立病院久里浜アルコール症センターの横山顕先生たちの研究を紹介しましょう.

 アルコールを飲むと顔が赤くなる(フラッシング反応)のはアルコールから代謝されたアルデヒドによるもので,アルデヒド脱水素酵素2(aldehyde dehydrogenase 2,ALDH2)には,ALDH21/21の正常型と,ヘテロ欠損者(ALDH21/22)とホモ欠損者(ALDH22/22)とが存在します.アルコール飲酒後の血中アルデヒド濃度を調べると,正常を1として,それぞれ6倍,19倍となるそうです.ヘテロ欠損者の食道癌リスクは少量飲酒の場合,正常型と比較して8.84倍,3合相当以上飲酒の場合,114倍となります.飲酒を続けているとフラッシング反応が消失していくとしても,過去にフラッシング反応があった人がヘテロ欠損者である確率は95%であり,このような人が飲み続けると食道癌のハイリスク群になると考えられそうです.アルコール量に依存してリスクが増すことはいうまでもありません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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