文献詳細
文献概要
ラボクイズ
8月号の解答と解説
著者: 大家辰彦1 犀川哲典1
所属機関: 1大分医科大学臨床検査医学講座
ページ範囲:P.817 - P.817
文献購入ページに移動【問題1】 解答:(2)
解説:本例の心電図は,2種類の幅広いQRS波が認められ,一つは右脚ブロックを,もう一つは左脚ブロックを呈している.このうち右脚ブロックQRS波形のときはRR間隔が長く,かつすべてのQRS波にP波が先行している.一方,左脚ブロックQRS波のときはRR間隔が短く,明らかなP波は確認できない.これらの所見より,右脚ブロック時のQRS波形は洞調律で,左脚ブロック時のQRS波形は心室頻拍と考えられる.本例は明らかな器質的心疾患を有しておらず,左脚ブロック時のQRS波形が下方(正常)軸であることより右室流出路起源心室頻拍と考えられる.今回,この心室頻拍に対して高周波カテーテルアブレーションを施行した.アブレーション後の心電図は洞調律でQRS波形は右脚ブロックを呈していた(図).
右室流出路起源心室頻拍は基礎心疾患を有さない特発性心室頻拍の一つであり,12誘導心電図で左脚ブロック+下方(正常)軸を呈する.機序は撃発活動と考えられており,予後は比較的良好である.本例のように非持続性心室頻拍が反復して出現することが多く,イソプロテレノールや運動により誘発されやすい,という特徴を持つが,一部には持続性心室頻拍となる症例もある.
解説:本例の心電図は,2種類の幅広いQRS波が認められ,一つは右脚ブロックを,もう一つは左脚ブロックを呈している.このうち右脚ブロックQRS波形のときはRR間隔が長く,かつすべてのQRS波にP波が先行している.一方,左脚ブロックQRS波のときはRR間隔が短く,明らかなP波は確認できない.これらの所見より,右脚ブロック時のQRS波形は洞調律で,左脚ブロック時のQRS波形は心室頻拍と考えられる.本例は明らかな器質的心疾患を有しておらず,左脚ブロック時のQRS波形が下方(正常)軸であることより右室流出路起源心室頻拍と考えられる.今回,この心室頻拍に対して高周波カテーテルアブレーションを施行した.アブレーション後の心電図は洞調律でQRS波形は右脚ブロックを呈していた(図).
右室流出路起源心室頻拍は基礎心疾患を有さない特発性心室頻拍の一つであり,12誘導心電図で左脚ブロック+下方(正常)軸を呈する.機序は撃発活動と考えられており,予後は比較的良好である.本例のように非持続性心室頻拍が反復して出現することが多く,イソプロテレノールや運動により誘発されやすい,という特徴を持つが,一部には持続性心室頻拍となる症例もある.
掲載誌情報