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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻1号

2005年01月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

ティンパノメトリーのポイントとなる波形は

著者: 西崎和則1 岡明子2

所属機関: 1岡山大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学 2岡山済生会総合病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.82 - P.84

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ティンパノメトリー(鼓膜コンプライアンス)の,基本波形とそのほかに特殊な波形および起こりそうな現象を教えてください.(福岡県筑紫野市 Y.K.生)

 はじめに

 ティンパノメトリーはインピーダンスオージオメトリーの一つで,外耳道圧を変化させながらコンプライアンス(鼓膜面での音の伝わりやすさ)の変化を記録するもので,中耳伝音系,すなわち鼓膜および耳小骨連鎖の可動性を評価できる.検査によって得られたティンパノグラムを解析することにより,鼓膜および耳小骨連鎖の異常のみならず,中耳腔の液体貯留の有無,耳管機能を知ることが可能である.

 ティンパノグラムは波形から以下のA,B,Cの3型に大きく分類され,A型はさらにピークの高さからAd(deep,ディープ)型,As(shallow,シャロウ)型に細分するのが一般的である(図1).ほかにB型やC型も細分することがある.

 伝音難聴(中耳疾患)の鑑別診断のためにティンパノメトリーを行うが,理論上考えられる波形と一致しないことも多い.例えば,耳小骨連鎖離断8耳で理論上考えられるAd型を示したのは3耳,固着型22耳で理論上考えられるAs型を示したのは9耳しか存在しなかった1).その他,標準純音聴力検査の骨導値がシャドーであるか否かを判断するときにもティンパノメトリーを他の検査と組み合わせて用いる.例えば,ティンパノグラムがA型,耳鏡所見正常,アブミ骨筋反射が認められ,CT所見で異常なければ,骨導値がシャドーの可能性が高い.

 このように,難聴の診断においてティンパノメトリーの結果は耳鏡検査,標準純音聴力検査,アブミ骨筋反射検査などの他の聴力検査やCTなどの画像所見と包括的に捉える必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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