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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

増刊号 一線診療のための臨床検査 第I章 総論―臨床編 4. 消化器疾患の検査

1)腹痛

著者: 中嶋均1 増田剛太2

所属機関: 1東京都立駒込病院消化器内科 2前 東京都立北療育医療センター

ページ範囲:P.1042 - P.1044

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原因と病態

1 . 概 念

 腹痛は些細なものから命を脅かすものまで広い範疇の症状である.なかでも急性腹症(acute abdomen)は急激に起こる腹痛を主訴とする腹部疾患の総称で,短時間内に手術を含めた治療方針を決定する必要がある救急疾患として頻用される疾患名である.

 生理的なこととしては神経線維には太さの順でA,B,Cの3種があり,さらにAはα,β,γ, δの4種類に分けられる.痛みの伝達は2種類の神経線維が担うとされており,痛み刺激を素早く伝達するA-δ線維とゆっくり伝達するC線維とがあり前者は鋭い痛みを,後者はマイルドで局在がはっきりしない痛みを知覚させる.腹痛は二つの神経線維によってそのインパルスが伝達され,一つはA-δ線維による伝達であり非常に迅速な伝わり方をするものでよく限局された痛みの感覚を伝える.もう一つはゆっくり伝わるCタイプ線維を介しての伝達でぼんやりとした部位のはっきりしない痛みを伝えるものである.ほとんどの内臓神経は機械的刺激(伸展,収縮)や化学的刺激(炎症,虚血)に反応するが,この伝達を行うのがCタイプ線維である.したがって,これらの臓器からの痛みというのは鈍く,じりじりするような痛みで局在がはっきりしない.壁側腹膜はAとCの両方の神経線維が分布しており,この部位で局在が明瞭で鋭い痛みとなるのはこの2種類の神経線維の作用によるからである1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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