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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

生物テロ(バイオテロ)の脅威

著者: 浅利誠志12

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院感染制御部 2大阪大学医学部附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.1061 - P.1061

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咽喉元過ぎれば熱さを忘れる…….2001年9月11日,米国世界貿易センターでのハイジャック航空機テロ,続く10月4日には炭疽菌テロ(白い粉事件)が発生したことを覚えているだろうか? 国内でも大阪のアメリカ領事館,関西空港郵便貨物便,新幹線などに白い粉が撒かれ一時は大騒ぎした.しかし,日本では,テロがあったことは覚えてはいるが,バイオテロ対策は全く講じていない病院が大部分ではないだろうか?

ところが,炭疽菌によるテロを実際に受けた米国は違う.バイオテロ対策として検査すべき微生物名,培養方法,測定薬剤およびそのブレイクポイントをClinical Laboratory Standards Institute:CLSIM100-S15(旧NCCLS)に掲載し,世界の感染症関連者にグローバルな警鐘を発している.具体的には,Bacillus anthracis(炭疽菌),Burkholderia mallei (鼻疽菌),Burkholderia pseudomallei (類鼻疽菌),Yersiniapestis (ペスト菌),Francisella tularensis(野兎病菌)の5菌種について明記されている.また,このほかにもコレラ菌,ボツリヌス毒素,天然痘ウイルス,天然痘ウイルスに他のエボラ遺伝子などを組み込んだ改変生物兵器や農作物を狙ったアグロテロも危惧されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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