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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

関節液の結晶検査

著者: 武仲善孝1

所属機関: 1三重つくし診療所

ページ範囲:P.1096 - P.1096

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リウマチ診療を続けてはや30年.関節液の臨床研究も同じくらい続けてきたことになる.初めは一人で細々と進めていたが,途中から右下の文献の筆者,臨床検査技師の米田操先生と前田依子先生(以下Mさん)が真剣に取り組んでくれるようになった.おかげで診療のレベルは一段と高くなった.二人とも始めた当時は一般に行われる検査ではなかったので一歩踏み込むには勇気に近いものがあったに違いない.現在はMさんがここでの仕事を続けてくれている.

 リウマチ病の診療のなかで結晶誘発性関節炎の診断は非常に大切なのでここで改めて紹介しておきたい.81歳の男性が足を引きずりながら来院された.昨日から急に右膝が腫れて歩けなくなってきたという.膝は真っ赤に腫れ,熱感が強く,関節液の貯留が著しい.こんな膝を診たときにまず考えるのは化膿性関節炎,次に高齢であるのでピロリン酸カルシウムによる結晶誘発性関節炎,時に痛風による関節炎.いずれにしても激しい痛みが起こる.そこで「どんな水が貯まっているか調べてみましょう.」と関節を穿刺する.予想どおり黄濁した液が吸引される.すばやく看護師さんがシリンジのまま,隣の検査室のMさんの所に関節液を運ぶ.ここからがMさんの腕の見せどころだ.こちらで処置しているとMさんからメモが届く.“ピロリン酸カルシウム結晶多数”,“白血球の貪食像が見られる”.ここで診断がついたので抗炎症剤を注入する.そして,病態と2,3日でよくなることを説明して帰ってもらう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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