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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

増刊号 一線診療のための臨床検査

第I章 総論―臨床編 9. 中枢神経系疾患の検査

1)頭痛

著者: 益田陽子1 内山真一郎1

所属機関: 1東京女子医科大学神経内科

ページ範囲:P.1103 - P.1106

文献概要

頭痛の原因として大多数を占める慢性,良性の疾患のうちから,緊急治療を必要とする重篤な疾患を見逃さずに鑑別することが大切である.そのためには,注意深い問診により頭痛の発症様式,部位,性状,随伴症状を聞き出し,全身所見とともに眼底検査を含めた神経所見のチェックが重要である.warning sign(警告徴候)を認めた際には緊急CT(またはMRI)を施行し,必要ならば腰椎穿刺も行う.警告徴候として重要な所見は,初めて経験する激烈な頭痛,進行性頭痛,発熱,意識障害,髄膜刺激症状,局所神経徴候が挙げられる(図1).

 ‘初めての激烈な頭痛'は,40歳以上では片頭痛の初回発作の可能性は低いので,くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage,SAH)を念頭に置くべきである1).SAHの予後は不良で,32~67%が死亡するといわれている2).SAHのCT陽性率は12時間以内98%,24時間以内93%,24時間以降86%,2日76%,5日後58%である3).CTでSAHが確認されたら腰椎穿刺をする必要はないが,小出血やminor leakではCTで発見できない場合があり,後に生じる大出血の警告発作であることがしばしばあるので,CTで異常がなくてもSAHを否定しきれない場合は腰椎穿刺を施行するべきである1).早期のSAHを誤診した場合の73%はCTを施行しておらず,7%は,CTは施行したが腰椎穿刺を施行していなかったとする報告がある4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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