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増刊号 一線診療のための臨床検査 第II章 各論―検査編 1. 微生物検査 1)顕微鏡検査
(2)細菌・真菌の検査
著者: 村田正太1 渡邊正治1
所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1147 - P.1153
文献購入ページに移動感染症を引き起こす病原体には,ウイルス,細菌,真菌などさまざまな微生物が存在し,それらは大きさが異なる.そこで光学顕微鏡による検体の塗抹検査では,細菌や真菌とそれらより大きい原虫などの寄生虫を迅速に検出することができる.さらには培養検査では知ることのできない検体中の生体情報までも得ることができ,培養結果の解釈につながる.
塗抹検査では炎症細胞の存在から感染症が起こっていることがわかり,そこから検出された細菌などは感染症への関与が考えられ,原因菌であるか否かの判定が容易になる.培養検査は塗抹検査に比べ多くの時間が必要であり,初期治療における診断や治療方針に役立つ検査情報とはなりえない.しかし経験的治療での初期治療において,病態の改善がみられないときには,抗菌薬を変更することになり,培養後に行う薬剤感受性試験の結果が役立つ情報となる.このように感染症の診断,および初期治療をする際,できるだけ多くの検査情報を迅速に報告することで,より適切な治療につながり,治癒への近道となるはずである.だからこそ迅速に原因微生物を推定あるいは同定することが感染症検査には求められるが,顕微鏡検査はこの要求に対応できる迅速検査である.
ここでは一線診療ということを念頭に置き,臨床検体から直接的に細菌や真菌などを検出できる光学顕微鏡を用いた塗抹検査について,多くの検査室で取り入れられているグラム染色(Gram stain)について主に述べる.
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