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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

高病原性鳥インフルエンザ,SARSとフィロウイルス感染症

著者: 喜田宏12

所属機関: 1北海道大学大学院獣医学研究科 2北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター

ページ範囲:P.1170 - P.1170

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2003年秋からアジアでH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスによる家禽の被害が相次ぎ,2004年には10か国に感染が拡大した.2005年6月までに処分された家禽は,数億羽にのぼる.タイ,ベトナムおよびカンボジアでは,計108人が感染し,58人が死亡した.H5N1ウイルスがヒトからヒトに感染した例はない.インフルエンザウイルスは渡りカモとその北方圏の営巣湖沼の間で存続している.したがって,自然界,家禽,ブタとヒトの疫学研究を展開すれば,ヒトにおける新型ウイルスの出現と抗原変異の予測が可能であり,対策がとれる.

 2002年11月に中国南部で発生・流行が始まったSARSは,2003年7月までに8,437人に感染,813人を死亡させた.自然宿主は不明のままである.ヒトにおける流行の終息と同時に,自然宿主動物特定の試みは終わってしまった.したがって,SARSが再び発生・流行する可能性は否定できない.SARSコロナウイルスの自然宿主動物を特定するための疫学調査は困難が予想されるが進めなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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