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コラム
蓄尿による臨床検査
著者: 松田ふき子1
所属機関: 1三重大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.1225 - P.1225
文献購入ページに移動尿中成分の排泄量には変動があるため,尿定量検査では一般的に24時間蓄尿を行って尿中成分の1日総排泄量を求める.「朝の起床時に排尿をすませて膀胱を空にし,次の尿から翌朝の同時刻の排尿まですべての尿を溜める」ことが基本的な24時間蓄尿の方法である.しかし患者にとって蓄尿は容易なことではなく,ある調査では45%が不正確な蓄尿であったと報告している1).不正確となる理由は,蓄尿に対する患者の認識不足,ごまかし,うっかり忘れるなどである.大便のときにも採尿を忘れがちで,便器が異なる男性によくみられる.十分な説明が行われ,患者が蓄尿の意味を正しく理解していなければならない.
たとえ正確に蓄尿が行われても,尿は格好の培地と言われるほど細菌が繁殖しやすく変質しやすいため,蓄尿を行う場合には特に注意が必要である.まず清潔な蓄尿容器を使用すること,尿は冷暗所に保管すること,そして防腐剤の使用も必要である.防腐剤を使用する場合は,検査結果に影響を及ぼさないものを選ばなければならない.10~25%チモール-エタノール液は検査結果への影響が認められず,約2mlを蓄尿容器に添加することで細菌の繁殖を抑える効果がある2).しかしプラスチック容器を変質させることがあるため,あらかじめ少し尿が入ったところへチモールを添加するなどの工夫が必要である.
たとえ正確に蓄尿が行われても,尿は格好の培地と言われるほど細菌が繁殖しやすく変質しやすいため,蓄尿を行う場合には特に注意が必要である.まず清潔な蓄尿容器を使用すること,尿は冷暗所に保管すること,そして防腐剤の使用も必要である.防腐剤を使用する場合は,検査結果に影響を及ぼさないものを選ばなければならない.10~25%チモール-エタノール液は検査結果への影響が認められず,約2mlを蓄尿容器に添加することで細菌の繁殖を抑える効果がある2).しかしプラスチック容器を変質させることがあるため,あらかじめ少し尿が入ったところへチモールを添加するなどの工夫が必要である.
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