文献詳細
文献概要
増刊号 一線診療のための臨床検査 第II章 各論―検査編 2. 生理検査
1)心電図
著者: 土居忠文1
所属機関: 1高知大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1230 - P.1232
文献購入ページに移動心臓は活動電位により心筋が収縮と拡張とを繰り返している.心電図はその活動電位を記録するものである.心電図検査では一般に標準12誘導を用いる.標準12誘導は,標準肢誘導(I,II,III誘導),単極肢誘導(aVR,aVL,aVF誘導)と単極胸部誘導(V1,V2,V3,V4,V5,V6誘導)とがある.I誘導は左手と右手,II誘導は左足と右手,III誘導は左足と左手の間の電位差を表す.aVR誘導は右手を関電極,左手と左足とを不関電極とし,aVL誘導は左手を関電極,右手と左足とを不関電極とし,aVF誘導は左足を関電極,右手と左手とを不関電極としている.
肢誘導と心臓との関係は図1に示すごとくであり,心筋梗塞の部位診断に役立つ.すなわち,誘導は左肩から右肩に向かって心臓の電気的変化を眺めており,心臓の側壁を見ることができる.誘導は左足から右肩に向かって心臓を眺め,誘導は左足から左肩に向かって心臓を眺めており,いずれも下壁を見ることができる.aVR誘導は右肩から心臓を眺めており,心室の特定部位を見ることができないが,心内膜を眺める誘導である.aVL誘導は左肩から心臓を眺めており,側壁を見ることができる.aVF誘導は左足から心臓を眺め,下壁を見ることができる.心筋梗塞の部位診断では,側壁梗塞は,aVL誘導に梗塞変化を認め,下壁梗塞はII,III,aVF誘導に梗塞変化を認める.
掲載誌情報