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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

ペットと感染症

著者: 宇賀昭二1

所属機関: 1神戸大学医学部保健学科病態解析学講座

ページ範囲:P.1238 - P.1238

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かつてのペット(愛玩動物)が最近ではコンパニオンアニマル(伴侶動物)としての扱いを受けるようになっており,ヒトとの接触頻度が高まっている.代表的なイヌ,ネコを例に挙げれば,飼育頭数の増加(イヌで1,005万頭,ネコで772万頭)や室内飼育割合の増加(イヌで37%,ネコで47%)に加えて,動物の寿命延長(イヌで15年と20年前のほぼ2倍)などが顕著となり,濃密な関係が長く続くことになってきた.さらに最近では,イヌ,ネコ以外にも,多くの希少動物(エキゾチックアニマルと呼ばれる)が外国から輸入されるようになり,ペットブームに拍車がかかっている.このような状況に加えて,最近の高齢化社会を反映して飼育者が免疫機能の低下した老人である場合も多くなっており,ペットとの接触を通じてなんらかの健康上の被害も報告されている.

 われわれは,「ヒトと動物との間を行き来する疾病」を人畜共通感染症,そして「ヒトが動物から一方的に受ける疾病」を動物由来感染症と定義している.動物由来感染症のうちペットをその原因とする感染は,寄生虫類(イヌ・ネコ回虫症,エキノコックス症,クリプトスポリジウム症,ジアルジア症など)や細菌類(ネコひっかき病,野兎病,サルモネラ症など),あるいはそのほか(クリプトコッカス症,Q熱,オウム病など)を含めて200種以上が知られている.これら以外にも輸入動物を通じての感染が懸念されている狂犬病やペスト,さらには今までその存在が知られていなかった疾患(新興感染症)など,ペットから受ける感染症流行の可能性が懸念されている.1999年に施行された感染症法がわずか4年後に大幅に改正された理由は,現在世界的規模での流行が懸念されるこれら動物由来感染症への対策を充実するためであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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