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コラム
ペットと感染症
著者: 宇賀昭二1
所属機関: 1神戸大学医学部保健学科病態解析学講座
ページ範囲:P.1238 - P.1238
文献購入ページに移動われわれは,「ヒトと動物との間を行き来する疾病」を人畜共通感染症,そして「ヒトが動物から一方的に受ける疾病」を動物由来感染症と定義している.動物由来感染症のうちペットをその原因とする感染は,寄生虫類(イヌ・ネコ回虫症,エキノコックス症,クリプトスポリジウム症,ジアルジア症など)や細菌類(ネコひっかき病,野兎病,サルモネラ症など),あるいはそのほか(クリプトコッカス症,Q熱,オウム病など)を含めて200種以上が知られている.これら以外にも輸入動物を通じての感染が懸念されている狂犬病やペスト,さらには今までその存在が知られていなかった疾患(新興感染症)など,ペットから受ける感染症流行の可能性が懸念されている.1999年に施行された感染症法がわずか4年後に大幅に改正された理由は,現在世界的規模での流行が懸念されるこれら動物由来感染症への対策を充実するためであった.
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