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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

地球温暖化の感染症への影響

著者: 稲松孝思1

所属機関: 1東京都老人医療センター感染症科

ページ範囲:P.1244 - P.1244

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およそ45億年の地球史のなかで,生命は進化を遂げながら多様性を高め,相互に影響を与えながら共進化し,現在の生態系を形成するに至っている.ラブロックの提唱するGAIA仮説1)は生態系の営み自体が,土壌の組成,大気の成分に影響を与え,気候変動に対する緩衝剤としての役割を果たしていると指摘する.

 人類史上,太陽エネルギーが主なエネルギー源であった時代には,農業革命の後もヒトの個体数はせいぜい数億であったが,石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の大量使用により産業革命を果たした後,ヒトは生態系の中で個体数を飛躍的に増加させて100億に至ろうとしている.この間の化石燃料の大量使用は,地球のエネルギーバランスを狂わせている.気候の変動は,生態系の活動である程度緩衝されるとはいえ,このような激変に耐えられるかが問題となる.すなわち,産業革命以後の化石燃料の大量燃焼により,森林による吸収量を超える炭酸ガスを排泄し,温室効果による気温の上昇を招いている.このことが現在指摘されている地球温暖化であり,その対策として化石燃料の節約が求められ,京都議定書の必要性の根拠となっている2).これらのことが感染症にどのような影響を与えるのであろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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