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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻11号

2005年10月発行

文献概要

コラム

ビタミンCと尿検査

著者: 永峰康孝1

所属機関: 1徳島大学病院診療支援部

ページ範囲:P.1312 - P.1312

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ビタミンC は還元性を有する抗壊血病因子で,化学名も抗壊血病(anti-scorbutic)を基にアスコルビン酸(ascorbic acid,以下AsA)と名付けられた.ノーベル賞受賞者L. Pauling が風邪の予防や癌の発育抑制にAsA のグラム単位の大量投与(摂取)を推奨したのを機にAsA の大量投与がブームとなった.これらの説は明確なエビデンスが十分得られていないが,AsA は水溶性で過剰摂取による副作用がなく,安価なため,現在もブームは続いており,尿検査では高濃度のAsA を含む被検尿がつねに存在しうることを留意しておく必要がある.

 AsA はγ-ラクトン環に組み込まれて安定化したエンジオール基により強い還元力を有する.そのため,AsA が多量に存在すると,尿試験紙検査ではブドウ糖,潜血,亜硝酸塩,ビリルビンにおいて偽陰性となることがよく知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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