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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻12号

2005年11月発行

文献概要

ラボクイズ

10月号の解答と解説

著者: 西山泰暢1

所属機関: 1名城病院中央検査科形態細菌検査室

ページ範囲:P.1383 - P.1383

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【問題1】 解答:①Campylobacter fetus

解説:Campylobacter fetusはヒトの常在細菌ではなく,動物の腸管に常在し,血行を介して妊娠子宮に感染し流産や不妊を起こす細菌として知られている.菌名の「fetus」はラテン語の「胎児」から名づけられた.ヒトへの感染は主にimmunocompromised host(免疫力が低下している患者)に敗血症,髄膜炎,消化器疾患などのさまざまな症状を起こすことが知られている.しかしながら,わが国での報告では蜂窩識炎や紅斑についての記載は少ないことなどから,原因不明の蜂窩識炎のうちにC. fetusによるものがかなり存在するのではないかと推測される.C. fetusの主な感染様式は経口感染であり生肉,特に生レバー摂取の既往が注目されている.

 当院では,生肉摂取が原因と推測される5例のC. fetus感染症例を経験した.その内訳は,血液から検出したのは3症例で,いずれも紅斑を伴うものの重症の敗血症症状を示さず,CRP値も低い成績であった.このうち,2症例はステロイド剤が使用されていた.生殖器関係からの検出例は2例あり,子宮内膜炎の1例と,悪露から検出した症例の早産の患者であり,出産児は本菌による敗血症を起こした1例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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