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けんさアラカルト
―異常値となるメカニズム―5.HbA1c検査によるHb異常症の検出と解析
著者: 服部幸夫1 山城安啓1
所属機関: 1山口大学医学部保健学科
ページ範囲:P.1430 - P.1432
文献購入ページに移動■HbA1cの測定から発見されるHb異常症
異常Hbはそのアミノ酸置換により陰性荷電の増加あるいは減少(あるいは陽性荷電の減少/増加)をきたし,それぞれ電気泳動ではHbAより泳動が速いバンド(fast),遅いバンド(slow)となる.多くの全自動HbA1c専用測定機は陽イオン交換HPLCであるので,一般にfastでは溶出が早く,slowでは遅い.異常Hbに由来する異常HbA1cも同様である.多くのHbA1c専用HPLCでは,HbA以降に溶出するHbはすべてHbA分画で洗い出す仕様となっている.したがって,slowの主ピークやHbA2はHbAとともに溶出される.一般に,安定な異常Hbの場合,αグロビン異常では異常Hb含量が少なく(25%以下),βグロビン異常では50%に近い.したがって,前者では溶出像に与える影響が軽微な場合がある.なお,カラムによって溶出像が少し異なるので,解釈には注意を要する.いくつかの溶出パターンに分類し,それぞれに属する異常Hbおよび典型的な溶出像を示した(表,図1).図1のa~hに従って次のようになる.
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