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ラボクイズ
11月号の解答と解説
著者: 吉澤梨津好1
所属機関: 1(財)倉敷中央病院臨床検査室
ページ範囲:P.1473 - P.1473
文献購入ページに移動【問題1】 解答:④細胞質内封入体細胞
解説:本症例は,回腸導管術後尿で,矢印の成分は回腸上皮細胞由来の細胞質内封入体細胞である.無染色で見ると白血球の分葉核(好中球)が多数出現しているようにも見えるが,細胞質は厚く,硬い感じがする.細胞質の大きさに大小不同があるが,細胞質の厚さはほぼ一定であることから,上皮系の細胞が示唆される.また,設問の膀胱全摘術後という記載から,回腸上皮細胞由来の細胞質内封入体細胞と推定できる.
回腸導管術とは,膀胱全摘術に伴い行われる尿路変更術の一つで,合併症や上行性の感染が少なく,腎機能が長期にわたって保たれることから,標準的な尿路変更術として広く行われている.回腸の一部を膀胱の代用としているため,回腸由来の円柱上皮細胞が孤立散在性または集塊状に認められる.手術後初期には円柱上皮細胞として比較的容易に鑑別可能であるが,手術経過とともに変性や崩壊像を示し,細胞が丸みを帯び,白血球と区別がつきにくくなる.ステルンハイマー染色(Sternheimer stain)を行うと核は濃染し,封入体は細胞質と同系色の赤紫色に濃く染まり,封入体細胞であることがよくわかる(図).
解説:本症例は,回腸導管術後尿で,矢印の成分は回腸上皮細胞由来の細胞質内封入体細胞である.無染色で見ると白血球の分葉核(好中球)が多数出現しているようにも見えるが,細胞質は厚く,硬い感じがする.細胞質の大きさに大小不同があるが,細胞質の厚さはほぼ一定であることから,上皮系の細胞が示唆される.また,設問の膀胱全摘術後という記載から,回腸上皮細胞由来の細胞質内封入体細胞と推定できる.
回腸導管術とは,膀胱全摘術に伴い行われる尿路変更術の一つで,合併症や上行性の感染が少なく,腎機能が長期にわたって保たれることから,標準的な尿路変更術として広く行われている.回腸の一部を膀胱の代用としているため,回腸由来の円柱上皮細胞が孤立散在性または集塊状に認められる.手術後初期には円柱上皮細胞として比較的容易に鑑別可能であるが,手術経過とともに変性や崩壊像を示し,細胞が丸みを帯び,白血球と区別がつきにくくなる.ステルンハイマー染色(Sternheimer stain)を行うと核は濃染し,封入体は細胞質と同系色の赤紫色に濃く染まり,封入体細胞であることがよくわかる(図).
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