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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻13号

2005年12月発行

文献概要

検査じょうほう室 生理:超音波検査のステップアップ

虚血性心疾患

著者: 片貝佳代1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部生理検査室

ページ範囲:P.1512 - P.1516

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虚血性心疾患の病態

 虚血性心疾患は,心筋への酸素の供給が不足し,心筋虚血を生じることより起こる.多くは冠動脈疾患,特に冠動脈硬化による狭窄,閉塞,血栓および冠動脈の攣縮が原因である.軽度の心筋虚血状態では,虚血部の収縮期壁運動の低下,収縮期壁厚増加の低下などが観察されるが,多くの場合非虚血心筋において代償的に壁運動が亢進するため,左室全体としてのポンプ機能は正常範囲に保たれる.しかし,冠動脈の完全閉塞のような強度の心筋虚血では,虚血部の壁運動異常はさらに高度となり,収縮期壁厚増加が消失し,左室壁内方運動も消失,時には外方へ突出し,逆運動を呈することがある.

 一過性,可逆性の心筋虚血により生じたものが狭心症であり,虚血状態が長時間続き心筋に不可逆的壊死を生じたものが心筋梗塞である.狭心症は労作性狭心症(多くは動脈硬化に起因した冠動脈の狭窄のために,運動などによる心筋酸素消費量増加に対して心筋虚血が生じる),冠攣縮性狭心症(冠動脈に器質的な狭窄はないが,冠動脈が攣縮を起こして狭窄または閉塞することにより心筋虚血が生じる),不安定狭心症(心筋梗塞への移行や急死する可能性の高い病態の狭心症であり,内膜障害や粥腫の破錠部位における血小板凝集や血栓形成により急激に進行する冠動脈の狭窄および閉塞が原因となる)に分類される.心筋梗塞は侵される心筋壁の深さによって分類され,心筋壁全層にわたって障害されたとき,これを貫壁性梗塞と呼ぶ.これに対して,通常心筋壊死は心内膜側から心外膜側に進行するため心内膜側に限局して障害された場合を非貫壁性梗塞と呼ぶ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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