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ラボクイズ
1月号の解答と解説
著者: 升秀夫1
所属機関: 1国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科
ページ範囲:P.123 - P.123
文献購入ページに移動【問題1】 解答:④ウエステルマン肺吸虫
解説:ウエステルマン肺吸虫の第一中間宿主はカワニナやカワザンショウガイ(図1)である.カワザンショウガイは河口の汽水域に生息する5mmに満たない小さな巻貝である.カワニナには多くの種類がありウエステルマン肺吸虫の中間宿主として,どのカワニナが重要であるかの研究報告は少ない.むしろ,ゲンジボタル幼虫の餌としての知名度が高い.
都市近郊の河川整備に伴いカワニナをはじめ淡水貝類が移植され,ヘイケボタルやゲンジボタルの復活を試みる地域が増えている.ニホンカワニナ(図2)の生息域だった所に茨城県からヒタチチリメンカワニナが移植されるなど,本来の生態系を考慮しないことが多い.海から近い河川ではモクズガニの復活に力を注ぎ他河川から移植する地域もある.第二中間宿のモクズガニやザリガニは食に供されていた時代が長かった.昭和30年代,静岡県狩野川流域はモクズガニを常食する家庭が多く,ウエステルマン肺吸虫患者が多かった記録が残されている.汽水域が化学物質汚染のない水圏環境だった時代,ウエステルマン肺吸虫の終宿主のヒトは,イタチ,イノシシ,タヌキとともに自然に溶け込んでいたようである.
解説:ウエステルマン肺吸虫の第一中間宿主はカワニナやカワザンショウガイ(図1)である.カワザンショウガイは河口の汽水域に生息する5mmに満たない小さな巻貝である.カワニナには多くの種類がありウエステルマン肺吸虫の中間宿主として,どのカワニナが重要であるかの研究報告は少ない.むしろ,ゲンジボタル幼虫の餌としての知名度が高い.
都市近郊の河川整備に伴いカワニナをはじめ淡水貝類が移植され,ヘイケボタルやゲンジボタルの復活を試みる地域が増えている.ニホンカワニナ(図2)の生息域だった所に茨城県からヒタチチリメンカワニナが移植されるなど,本来の生態系を考慮しないことが多い.海から近い河川ではモクズガニの復活に力を注ぎ他河川から移植する地域もある.第二中間宿のモクズガニやザリガニは食に供されていた時代が長かった.昭和30年代,静岡県狩野川流域はモクズガニを常食する家庭が多く,ウエステルマン肺吸虫患者が多かった記録が残されている.汽水域が化学物質汚染のない水圏環境だった時代,ウエステルマン肺吸虫の終宿主のヒトは,イタチ,イノシシ,タヌキとともに自然に溶け込んでいたようである.
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