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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻2号

2005年02月発行

文献概要

けんさアラカルト

血漿中セロトニン測定

著者: 廣渡祐史1 原克子2 髙橋伯夫3

所属機関: 1東ソー(株)科学計測事業部開発部 2関西医科大学附属病院中央検査部 3関西医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.152 - P.153

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はじめに

 日本人の死因の第一位は悪性新生物(がん)である.そして,「動脈硬化性疾患」である心疾患と脳血管疾患が,第二位,第三位と続き,この二疾病を合わせるとがんを抜いて第一位となる.動脈硬化は血管の病気であり,高コレステロール血症,糖尿病,高血圧などの状態が持続すると,それとともに発症および進展すると考えられている.

 動脈硬化では血管内皮細胞に障害が生じる.血管内皮の障害部位では,血管内皮細胞が剝離しコラーゲンが露出することにより,血小板が活性化されα顆粒および濃染顆粒から種々の血液凝固促進因子が放出される.これらの血小板から放出される物質の血液中濃度は,動脈硬化性疾患の病態把握に有用な情報を与えてくれると考えられる.α顆粒から放出される血小板第4因子,βトロンボグロブリンについては,検査方法が確立されているが,安定した測定値を得るためには煩雑な採血手技が必要なことから,臨床の現場で幅広く使用されるに至っていない.

 われわれは,濃染顆粒から放出されるセロトニンについて,採血法,測定法を検討し,安定的に測定できる手法を開発した1).そして,動脈硬化性疾患の代表的存在である冠動脈疾患患者において,乏血小板血漿(platelet-poor plasma,以下,単に血漿と記述する.)のセロトニン値を検討した1,2).その結果を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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