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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻2号

2005年02月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

尿中脂肪球は上清にあるのでは

著者: 油野友二1

所属機関: 1金沢赤十字病院検査部

ページ範囲:P.169 - P.170

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尿沈渣に関する成書では「沈渣物に染色液を加えて鏡検する」とあります.しかし「脂肪」球ですからどうしても沈渣ではなく,上清に混じっていると思ってしまいます.どうして沈渣で鏡検するのでしょうか.併せて脂肪球を上手に見つける方法があれば教えてください.(東大阪市 K.F.生)

尿中脂肪球とは

 尿中脂肪球とは,一般的に大小不同の球状で光屈折の見られる油滴状の成分を示す.尿中で脂肪滴の出現を認める場合としては,高蛋白尿と低蛋白血症とをきたしたときに卵円形脂肪体とともに観察されることが最も多いと考える.このような状態を臨床症候分類ではネフローゼ症候群と呼ぶ.ネフローゼ症候群などで見られる卵円形脂肪体や脂肪球の生成機序は,次のように考えられる.糸球体での血漿蛋白質の透過性亢進によりアルブミンが糸球体を通過するときに,血清中のリポ蛋白質(ネフローゼ症候群では高脂血症を多くは伴うが)も基底膜を通過し一部は尿細管で再吸収される.再吸収されたリポ蛋白質は尿細管上皮細胞中で代謝され,コレステロールやコレステロールエステルが生成されて脂肪球として細胞に沈着し,これが細胞から放出された場合に脂肪球となり,この細胞が脱落したものが卵円形脂肪体であると考えられている1).また大食細胞が脂肪球を貪食し卵円形脂肪体類似の形態を示し,その周囲に脂肪球を認める場合もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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