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難治がんの早期診断マーカーの探索
著者: 本田一文1 山田哲司1
所属機関: 1国立がんセンター研究所化学療法部・腫瘍プロテオミクスプロジェクト
ページ範囲:P.172 - P.174
文献購入ページに移動進行がんの治療は現在利用可能な医療技術をもってしても治癒困難な場合は少なくない.高感度で高特異度を有する検出方法を用いて微小がんを発見し,早期に治療を開始する以外には,予後の改善に大きな期待が持てないのが現状である.そのためには,多数の被検者を効率よく非侵襲的にスクリーニングできる診断マーカーの開発が急務である.近年,バイオテクノロジーの基礎研究領域において急速な技術革新がなされ,蛋白質を全体としてとらえて研究するプロテオミクス技術が診断マーカーの探索法として注目を集めるようになってきた.プロテインチップと質量分析装置を組み合わせたSELDI-TOF-MS(surface-enhanced laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry,表面エンハンス型レーザー脱イオン化質量分析法)で得られた質量データを,機械学習アルゴリズムを用いて解析することにより,一見特異性がないように思われる血漿・血清中に含まれる蛋白質・ペプチドの数値データからも早期がんが高い判別率で診断できるという報告がなされている1).
本稿ではSELDI-TOF-MSの原理,MSデータからのマーカー探索法,臨床検査への応用について述べる.
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