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ラボクイズ
2月号の解答と解説
著者: 中島哲也1 増永純夫2 内藤愼二3
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター研究検査科 2熊本中央病院検査科 3独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター・検査部
ページ範囲:P.255 - P.255
文献購入ページに移動解説:症例1は溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)を起こしたもので,血液検査と生化学検査とは典型的なデータで,沈渣所見で尿細管上皮細胞を認めた例である.この細胞は俗にいう基本形の尿細管上皮細胞で,集塊状で認めるが,比較的大型の細胞で核内構造は濃縮状であり主に偏在性を示す.また,細胞質は粗顆粒状で,辺縁は鋸歯状を示している.
この症例では検査データを把握し鏡検を試みてもらいたい.日常では他の検査データなどはあまり重要視せず形態学的見地からのみの報告が行われており,他の検査部門との接点が少ないと思われる.また,尿細管障害は虚血で起こるほかに,薬物,重金属,造影剤などの外因性物質,あるいはヘモグロビンやミオグロビンなどの内因性物質の中毒作用による溶血で赤血球が破壊されてヘモグロビンが放出されて両者とも糸球体で濾過し,尿細管細胞に毒性を示すことによっても生ずる.したがって,検血のデータなども把握し尿細管上皮細胞など早期に見つけ出すことによって他の検査データよりも臨床に則した早期尿細管障害などの発見に役立つと思われる.
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