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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻3号

2005年03月発行

文献概要

Laboratory Practice 生理 超音波像の読みかた

産科―胎児以外の異常

著者: 吉田幸洋1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院産婦人科

ページ範囲:P.268 - P.273

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はじめに

 妊娠が成立してから分娩までの間,子宮内の胎児は卵膜に包まれて羊水中に浮遊した状態で存在している.さらに子宮内には,妊娠中の全期間を通じて胎児に酸素や種々の栄養素を供給するにとどまらず種々のホルモンを産生し妊娠維持に重要な役割を担っている胎盤,およびこの胎盤と胎児とを繫いでいる臍帯も存在している.つまり,妊娠中の子宮内には,胎児以外にも胎盤,羊水,臍帯などが存在し,これらを総称して胎児付属物と呼んでいる.超音波が医学に応用されるまで子宮内は全くのブラックボックスで,特にこれら胎児付属物の状態については,もっぱら分娩後の検索に頼らざるをえなかった.しかし,超音波断層法の実用化によって初めて,胎盤や臍帯の形態や位置に関する情報が妊娠中から得られるようになった.

 産科領域における超音波診断の主たる目的は胎児の発育が正常であるかどうか,胎児の形態や機能に異常がないかどうかを診断することであるが,胎児以外の所見が胎児異常を発見する端緒となる場合も少なくなく,周産期管理上は胎児付属物の超音波診断も胎児それ自身に匹敵する重要性を持つといえる.

 本稿では,産科超音波診断に関連したもののうち,対象を胎児以外に絞って述べてみたい.なお,近年,ある種の胎児異常についてはMRIが診断に有用とされ,妊娠中であっても超音波診断に加えてMRIによる検査も行われるようになったが,胎児付属物の異常についてはもっぱら超音波診断に委ねられているのが現状であるため,本稿では超音波画像を中心に解説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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