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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻3号

2005年03月発行

トピックス

カーボンナノチューブを用いた胆汁酸測定用センサーチップ

著者: 後藤正男12 小出哲1 来栖史代1 中村秀明12 輕部征夫12

所属機関: 1独立行政法人産業技術総合研究所バイオニクス研究センター 2東京工科大学バイオニクス学部

ページ範囲:P.304 - P.307

文献概要

はじめに

 カーボンナノチューブ(carbon nanotube,以下,CNT)は1991年,飯島博士により発見され1),その特異な構造と特性から注目を集めている.CNTを電極材料として使用した場合,触媒活性が高く,高い選択性を有することが報告されている2~4).この特性を利用したバイオセンサーを構築することができれば,阻害物質の影響を低減,あるいはなくすことができ,血中や尿中の微量物質の定量を特異的かつ,高感度に行うことが可能になると考えられる.

 胆汁酸は,肝臓でコレステロールより生合成され,胆道を通り,小腸,門脈を経て肝臓に再摂取される閉鎖的な腸肝循環系に存在する.このため,血中および尿中にはほとんど存在しない(10μmol/l以下)5,6).しかし,肝胆道系に疾患がある場合,大循環系に胆汁酸が漏れ出し,血中の胆汁酸濃度が増加し,それに伴って尿中の胆汁酸濃度も10~100倍に増加する5,6).したがって,血中,尿中の胆汁酸を測定することで肝機能を調べることができる.しかし,現在行われている胆汁酸の測定では,定量が困難であり,操作が煩雑で時間がかかる.また,血液を検体とする場合,採血が必要なため患者に負担がかかる.さらに,尿を検体とする場合,尿中に含まれる阻害物質の影響で高感度,高精度に胆汁酸を測定することが難しい.

 本稿では,CNTの特性である高い触媒活性と選択性を利用した胆汁酸測定用センサーチップの開発に関する結果について紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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