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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻5号

2005年05月発行

文献概要

オピニオン

院内微生物検査の重みと外注の利用

著者: 山中喜代治1

所属機関: 1大手前病院臨床検査部

ページ範囲:P.413 - P.413

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■のどもと過ぎれば

 1999年,わが国は「結核緊急事態宣言」を発令しました.マスコミはこぞって報道し,医療機関はその対応に終始しました.さて2004年現在,結核がなくっているわけではないのに話題にもならず,あの「緊急事態宣言」はどうなったのでしょうか.このような現象は結核に限ったことではなく,腸管出血性大腸菌O157感染症やSARS(severe acute respiratory syndrome,重症急性呼吸器症候群)騒動にしてもしかりであります.しかし,あらゆる感染症流行の有無にかかわらず常に監視と対応に心がけているのが感染症研究所,衛生研究所,保健所,依託検査所でありそして第一線の水際作戦で迅速診断に貢献している病院内微生物検査室であります.特に,院内微生物検査室では法律に定める感染症に限らず広範囲な微生物の関与を決定または推定しており,情報のリアルタイム発信基地として重視されています.さて……

■優先すべき微生物検査

 初診時外来で一般的にみられる軽症~中等度感染症では検査結果を待たずして広域抗菌薬が投与され,多くの場合はこれで功を奏しています.しかし,誤った療法であったなら不幸な転帰をたどる場合や難治性で長期入院を余儀なくされる場合も少なくありません.特に,生命に危険をもたらす急性感染症や重症感染症では最も迅速で的確な対応が望まれ,化学療法に先んじて微生物検査を優先すべきであり,そのためにも初期治療を待ってもらう間《30~90分》に原因微生物を特定するための検査体制(検体採取・輸送・検査・報告)を構築することが大切であります.これを担うのが院内微生物検査室でありますが,そのメリットは……

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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