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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻5号

2005年05月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

糖尿病

著者: 清野弘明1

所属機関: 1太田西ノ内病院糖尿病センター

ページ範囲:P.443 - P.447

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疫 学

 糖尿病は近年患者数が増加の一途をたどっている疾患である.1997年度の厚生労働省の調査によると,糖尿病が強く疑われる人(HbA1cが6.1%あるいは現在糖尿病の治療を受けている人)が690万人,糖尿病の可能性が否定できない人(HbA1c5.6%以上6.1%未満)は680万人である.2002年度の同調査では,糖尿病が強く疑われる人(HbA1cが6.1%あるいは現在糖尿病の治療を受けている人)が740万人,糖尿病の可能性が否定できない人(HbA1c5.6%以上6.1%未満)は880万人で合計1,620万人である.この5年で,糖尿病が強く疑われる人は50万人増加し,糖尿病の可能性が否定できない人が200万人増加している(図1).2002年の調査では,50~59歳で20%,60~69歳で約30%,70~79歳では約40%が糖尿病という割合となる.2010年には1,080万人が糖尿病になると推測されている.これは,脂質摂取量の増加や車の保有台数の増加と関連があると推測されている.

 日本人は遺伝的にインスリン分泌能の程度が欧米人に比較して低いということが証明されている.農耕民族であった日本人は,脂質の摂取量が少なかったためインスリンを多量に分泌しなくてもよかったが,脂質摂取量の増加や運動不足,さらに肥満などの生活習慣の変化に見合うだけのインスリン分泌ができず糖尿病が増加していると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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