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文献詳細

雑誌文献

検査と技術33巻7号

2005年07月発行

文献概要

けんさ質問箱Q&A

抗M抗体の性状は

著者: 石井規子1

所属機関: 1昭和大学病院輸血部

ページ範囲:P.683 - P.684

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血液型検査にEDTA-2Kを抗凝固剤として採血した検体を使用しています.抗M抗体はEDTAと反応してウラ試験で凝集を起こすことがあると聞きましたがどういう機序によるのでしょうか,教えてください.また,抗M抗体は低温でしか反応しないので臨床的意義はないといわれ,また溶血性副作用があるとのことですがどうなのでしょうか,併せて教えてください.(長野県上田市 Y.T.生)

 

■抗M抗体とは

 抗M抗体はMNSs血液型のM抗原に対して産生される抗体です.MNSs血液型は40種類の抗原で構成される複雑な赤血球の血液型ですが,臨床的に重要なのはM,N,S,s抗原です.表1にM,N抗原の頻度を示します.M抗原,N抗原は赤血球膜の脂質二重層を貫通する糖蛋白であるグリコフォリンA(GPA)に存在し,S,s抗原は同様にグリコフォリンB(GPB)に存在1)します.ブロメリンやフィシンなどの蛋白分解酵素を作用させるとこれらの糖蛋白が特定の位置で切断されるためM,N抗原が消失します(S,s抗原については意見が統一されていません).抗M抗体や抗N抗体を酵素法で検出できないのはこのためです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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