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絵で見る免疫学 基礎編68
自然免疫の細胞と役割(2) 自然免疫におけるパターン認識レセプターその2 TLR(Toll-like receptor)
著者: 高木淳1 玉井一2
所属機関: 1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部 2栄光病院
ページ範囲:P.726 - P.727
文献購入ページに移動獲得免疫系における非自己はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞が取り込んだ病原体を消化してできたペプチドである.TLRが発見される以前は自然免疫系における非自己はその実態が明らかではなかったが,自然免疫系における非自己とは病原体の細胞壁の構成成分である脂質と蛋白質そして核酸などの分子であり,TLRがこれらを認識することが明らかになった.したがって,TLRは侵入した病原体を迅速に認識し排除する免疫応答システムの引き金であるといえよう.TLRが病原体特有の分子を認識すると,細胞内のシグナル伝達回路を活性化してIL(interleukin)-12,IL-6やTNF(tumor necrosis factor,腫瘍壊死因子)-α,IFN(interferon)-α,IFN-βなどのサイトカインの産生を促すので,TLRは自然免疫のみならず獲得免疫系をも活性化し,感染防御機構において重要な役割を果たすのである(図1).結核菌抽出物をアジュバント(免疫応答を増強する意味)として用いる理由はここにあったのである.現在9種類のTLRの機能が明確にされている.
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