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けんさアラカルト
―異常値となるメカニズム 3.脂質検査異常値データ・1―家族性高コレステロール血症と検査データ
著者: 塚本秀子1
所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.776 - P.777
文献購入ページに移動■家族性高コレステロール血症,FHの成因
FHはLDLレセプターの遺伝的欠損(異常症)によることが明らかとなっている.両親から受け継いだ1対のレセプター遺伝子のうち片方のみに欠損を示すヘテロ接合体と両方の完全欠損を示すホモ接合体とがある.これらは常染色体優性遺伝疾患であり,発症頻度はヘテロ接合体で約500人に1例と比較的多く,ホモ接合体は約100万人に1例とされている.すべての細胞は細胞膜にLDLレセプターを有している.これを介してLDLを細胞内に取り込み分解・合成を行い,細胞内への過剰なコレステロールの蓄積を防ぐことで血中のコレステロール値を調節している.FHではこのレセプターの遺伝子に異常があるためLDLレセプターそのものが欠損したり,機能が障害されたりするので,細胞内にLDLを取り込めず,血中にLDL-Cが多量に停滞してしまう.その結果,著明な高コレステロール血症を呈することになる.図にはその成因となるLDL遺伝子変異を示した.現時点で国内では80種以上の多様性が認められている.
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