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間質性膀胱炎
著者: 間宮良美1
所属機関: 1新都心南新宿ビルクリニック泌尿器科
ページ範囲:P.788 - P.790
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泌尿器科領域で最近関心が高まっている疾患の一つに間質性膀胱炎(interstitial cystitis)がある.欧米ではごく一般的な疾患で,米国では70万人以上の患者がいるといわれている.一方,わが国では漠然と難治性の慢性膀胱炎とされ研究対象にされていなかった経緯があるが,近年,それらの症例のうちに間質性膀胱炎がかなりの割合で含まれている可能性が指摘され,2002年に日本間質性膀胱炎研究会(ホームページhttp://sicj.umin.jp/)が設立されるなど注目を浴びるようになった.
本疾患は年齢,性別を問わず発病するが特に女性に多くみられる.発病の原因については未だ不明な点が多いが,膀胱の非特異的防御機構であるグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan,GAG)層の欠損,変性説が有力視されている.なんらかの要因でGAG層がダメージを受け,それが修復せずに続いている状態が間質性膀胱炎といえる.したがって,間質性膀胱炎とは一つの疾患ではなく,頻尿,尿意切迫感,膀胱部の疼痛などを主訴とし,感染や特異的な病理所見を伴わない症候群として捉えるのが一般的である.通常の膀胱炎は細菌による尿路感染で抗生物質がよく効くが,本疾患に対しては無効である.ただし,尿路感染があるから本疾患を否定できるものではなく,感染が消失してからも症状が持続する場合は本疾患を疑うべきである.また,頻尿や尿意切迫感などの症状が強い場合には,いわゆる過活動膀胱(over active bladder,OAB)として診断・治療されることがあり,この場合抗コリン剤を投与しても症状が改善しないときにも本疾患を疑うべきである.そのほか,間質性膀胱炎と鑑別すべき疾患として膀胱癌,膣感染症,子宮内膜症,放射線性膀胱炎,前立腺炎,神経症などがある.
本疾患の診断にたどりつくまでには容易でないことが多く,慢性膀胱炎として長期間抗生剤を投与されたり,心身症として治療されたりする場合も多い.
泌尿器科領域で最近関心が高まっている疾患の一つに間質性膀胱炎(interstitial cystitis)がある.欧米ではごく一般的な疾患で,米国では70万人以上の患者がいるといわれている.一方,わが国では漠然と難治性の慢性膀胱炎とされ研究対象にされていなかった経緯があるが,近年,それらの症例のうちに間質性膀胱炎がかなりの割合で含まれている可能性が指摘され,2002年に日本間質性膀胱炎研究会(ホームページhttp://sicj.umin.jp/)が設立されるなど注目を浴びるようになった.
本疾患は年齢,性別を問わず発病するが特に女性に多くみられる.発病の原因については未だ不明な点が多いが,膀胱の非特異的防御機構であるグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan,GAG)層の欠損,変性説が有力視されている.なんらかの要因でGAG層がダメージを受け,それが修復せずに続いている状態が間質性膀胱炎といえる.したがって,間質性膀胱炎とは一つの疾患ではなく,頻尿,尿意切迫感,膀胱部の疼痛などを主訴とし,感染や特異的な病理所見を伴わない症候群として捉えるのが一般的である.通常の膀胱炎は細菌による尿路感染で抗生物質がよく効くが,本疾患に対しては無効である.ただし,尿路感染があるから本疾患を否定できるものではなく,感染が消失してからも症状が持続する場合は本疾患を疑うべきである.また,頻尿や尿意切迫感などの症状が強い場合には,いわゆる過活動膀胱(over active bladder,OAB)として診断・治療されることがあり,この場合抗コリン剤を投与しても症状が改善しないときにも本疾患を疑うべきである.そのほか,間質性膀胱炎と鑑別すべき疾患として膀胱癌,膣感染症,子宮内膜症,放射線性膀胱炎,前立腺炎,神経症などがある.
本疾患の診断にたどりつくまでには容易でないことが多く,慢性膀胱炎として長期間抗生剤を投与されたり,心身症として治療されたりする場合も多い.
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