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新規腫瘍マーカーとしての尿中ジアセチルスペルミン
著者: 山口幸二1 中村雅史2 渡部雅人1 寅田信博1 穴井元昭3 川喜田正夫4 濱﨑直孝5 田中雅夫6
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床・脳腫瘍外科 2九州大学大学院医学研究院腫瘍制御学 3(株)シー・アール・シー中央研究所 4工学院大学応用化学科生命工学 5工学院大学臨床検査医学 6工学院大学臨床・腫瘍外科
ページ範囲:P.881 - P.884
文献購入ページに移動尿中ジアセチルスペルミンはポリアミンの尿中代謝産物の一つである.ポリアミンは活発に増殖する組織に多量に含まれており,細胞増殖に重要な役割を果たしていると考えられるが,アセチル化され,尿へ排泄されるが,その大部分はモノアセチル体である.ジアセチルスペルミンはポリアミンの1種であるスペルミンがジアセチル化されたもので,尿中ポリアミンの1%以下にすぎない.しかし,最近,癌患者に特異的に尿中排泄が増加することが知られるようになってきた.検体が尿であるため,採血の苦痛や針刺し事故の危険がなく,癌マーカーとしての機序より考えると臓器特異性がないことが推察され,癌検診に有用な“汎用性癌マーカー”として期待されている.
本稿では尿中ジアセチルスペルミンの研究の現況について概説した.
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