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技術講座 免疫血清
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新しい知見
補体に関する新しい知見として臨床検査関連のものと,基礎研究のものとに分けることができよう.臨床検査関連としては,例えばSLE(systemic lupus erythematosus,全身性エリテマトーデス)の活動性マーカーとしての網状赤血球上C4d測定の有用性について報告が最近なされている1).今日,補体関連成分の多くが測定可能であるが,日常臨床検査では従来からのCH50,C3,C4で十分であると考えられる.また基礎研究の知見は多く,例えば最近X線結晶構造解析によりC3およびC3cの立体構造が明らかにされ,そこから種々の構造機能関連の知見がもたらされた2).補体3経路のなかでも最も新しく発見されたレクチン経路についても多くの知見が集積されつつある3).
補体に関する新しい知見として臨床検査関連のものと,基礎研究のものとに分けることができよう.臨床検査関連としては,例えばSLE(systemic lupus erythematosus,全身性エリテマトーデス)の活動性マーカーとしての網状赤血球上C4d測定の有用性について報告が最近なされている1).今日,補体関連成分の多くが測定可能であるが,日常臨床検査では従来からのCH50,C3,C4で十分であると考えられる.また基礎研究の知見は多く,例えば最近X線結晶構造解析によりC3およびC3cの立体構造が明らかにされ,そこから種々の構造機能関連の知見がもたらされた2).補体3経路のなかでも最も新しく発見されたレクチン経路についても多くの知見が集積されつつある3).
参考文献
1) Liu CC, Manzi S, Kao AH, et al: Reticulocytes bearing C4d as biomarkers of disease activity for systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 52:3087-3099,2005
2) Janssen BJ, Huizinga EG, Raaijmakers HC, et al: Structure of complement C3 provide insights into the function and evolution of immunity. Nature 437:505-511,2005
3) Fujita T, Matsushita M, Endo Y: The lectin-complement pathway-its role in innate immunity and evolution. Immunol Rev 198:185-202,2004
4) 森田良樹,岡田則子,松尾清一:補体系の機能と生態防御に果たす役割.日本臨牀 63:41-46,2005
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11) 吉田浩,加藤裕子,長井俊彦:補体検査のサンプリング―血清補体溶血活性(CH50)測定と検体取り扱い上の問題.臨床病理 103(臨増):221-226,1996
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