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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻10号

2006年10月発行

ラボクイズ

9月号の解答と解説

著者: 安喰恒輔1

所属機関: 1東京大学医学部循環器内科

ページ範囲:P.931 - P.931

文献概要

【問題1】 解答:⑤心房期外収縮

解説:心拍数35拍/分 の徐脈である.QRS波の直前以外に明確なP波を指摘しにくいが,これらのP波とQRS波との関係は一定で,完全房室ブロックは否定的である.2:1房室ブロックであれば,QRS波を伴うP波と伴わないP波が1拍ごとに出現するはずだが,QRS波を伴う二つのP波の中間点にはP波が存在せず,これも否定される.とすれば,洞徐脈または洞房ブロックであろうか.しかし,ここでT波が若干変形していることに気付いていただきたい.

 図1に他の時刻の実記録を示す.3拍目までは通常の洞調律に見える.4~6拍目は予定よりも早期に出現し,連発性期外収縮と考えられる.6拍目(*)と次の7拍目のT波とを比較すれば,本来のT波は6拍目の波形であり,7拍目のT波はP on Tとなっていることが明らかである.1~3,7拍目のT波も同様にP on Tと考えられる.すなわち,1,2,7拍目は非伝導性心房期外収縮(non conducted PAC,blocked PAC)であり,3拍目は変行伝導を伴う心房期外収縮である.

 問題でもT波の変形はP on Tによるものであり,非伝導性心房期外収縮の二段脈と診断される.P波を探すときは平坦な基線の部分のみならず,T波やQRS波の近傍にも注意する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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