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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻10号

2006年10月発行

連載 臨床医からの質問に答える

ガフキーが陽性になったときの対応は?

著者: 牧野巧1 菊池典雄2

所属機関: 1千葉市立海浜病院臨床検査科 2千葉市立海浜病院内科

ページ範囲:P.932 - P.935

文献概要

 背景

 抗酸菌はヒト-ヒト感染を惹起する結核菌と,ヒト-ヒト感染を認めないとされる非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria,NTM)とに大別されます.

 かつて国民病とまでいわれた結核は,罹患率が1980年代までは激減しその後は緩やかに低下し続けました.ところが1997年以来上昇に転じ,1999年には厚生省(現,厚生労働省)より「結核緊急事態宣言」が発表され,マスコミにも大きく取り上げられました.また,1999年に「結核院内(施設内)感染予防の手引き」が,2000年には「新結核菌検査指針2000」(以下,新指針)が結核予防会から出版されました.2005年には日本結核病学会・日本臨床微生物学会・日本臨床衛生検査技師会より「結核菌検査に関するバイオセーフティマニュアル」も作成されました.最近の統計では,2000年より罹患率が減少し,2004年の新規登録患者数は29,736人,罹患率は23.3と5年連続で減少しています.しかし,喀痰陽性患者数・罹患率の減少率はともに0.8%と小さく,10歳台の罹患数は横ばいです1).高齢者の結核患者数の増加と併せ,日常診療において遭遇する機会は少なくなく,院内感染・集団発生予防からも結核感染対策は重要です.また,NTMによる主な肺非結核性抗酸菌症はMycobacterium avium complex(MAC)による肺MAC症と,肺M. kansasii症とであり,わが国の発生頻度は人口10万対での変遷でみると1971年:0.89,1981年:1.70,2000年:4と約30年間で約4倍に急増しています2)

参考文献

1) 結核予防会:結核の統計2005年版,2005
2) 小川賢二:第17回日本臨床微生物学会イブニングセミナー4,非結核性抗酸菌症の現状と展望,2006
3) 日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会(編):塗抹検査.新結核菌検査指針2000,pp19-26,2000
4) 猪狩英俊,菊池典雄,川島辰男,他:一般病院における非定形抗酸菌の検出状況と肺非定形抗酸菌症.結核 69:483-490,1994
5) 菊池典雄,猪狩英俊,川島辰男,他:一般病院における肺結核の診断.結核 67:495-507,1991
6) 小栗豊子:抗酸菌.臨床と微生物 27(増刊号):673-679,2000
7) 田口善夫:結核の早期診断.INFECTION CONTROL 10:962-965,2004
8) 永井英明:結核患者の病院感染対策.INFECTION CONTROL 13:798-803,2004
9) 結核院内(施設内)感染予防の手引き.厚生労働省ホームページより(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1110/h1008-1 11.html)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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