文献詳細
検査じょうほう室 生化学 腫瘍マーカー・8
文献概要
はじめに
膀胱癌は膀胱移行上皮より発生する悪性腫瘍で,尿路系悪性腫瘍では前立腺癌と並んで頻度の高い癌である.すなわち日常の臨床において,比較的扱う頻度の高い疾患である.
膀胱癌の診断には,膀胱鏡検査は不可欠であるが,膀胱鏡はやや手間のかかる検査であるばかりでなく,侵襲的で,特に男性においては非常な苦痛を伴う検査である.検査後の出血や感染のリスクも伴っている.したがって,膀胱鏡検査の施行に際しては,ある程度,対象症例を絞り込む必要がある.
絞り込みに有用な検査としては,細胞診や膀胱超音波検査が挙げられる.ただし,細胞診はしばしばその感度の低さが指摘されている2~4).また膀胱超音波検査でも,術者の技量によるところがある点,小さな病変が見えにくい点などいくつか問題があると思われる.
このようななか,尿中BTA(bladder tumor antigen,膀胱腫瘍抗原),尿中NMP22(nuclear matrix protein,核マトリクス蛋白質)が開発され,臨床の現場で頻繁に使用されるようになった.保険適用では,尿中BTAは膀胱癌の経過観察(膀胱内再発のチェック)に,尿中NMP22は血尿などで膀胱癌が疑われた症例に使用が認められている.本稿ではこの両者について概説する.
膀胱癌は膀胱移行上皮より発生する悪性腫瘍で,尿路系悪性腫瘍では前立腺癌と並んで頻度の高い癌である.すなわち日常の臨床において,比較的扱う頻度の高い疾患である.
膀胱癌の診断には,膀胱鏡検査は不可欠であるが,膀胱鏡はやや手間のかかる検査であるばかりでなく,侵襲的で,特に男性においては非常な苦痛を伴う検査である.検査後の出血や感染のリスクも伴っている.したがって,膀胱鏡検査の施行に際しては,ある程度,対象症例を絞り込む必要がある.
絞り込みに有用な検査としては,細胞診や膀胱超音波検査が挙げられる.ただし,細胞診はしばしばその感度の低さが指摘されている2~4).また膀胱超音波検査でも,術者の技量によるところがある点,小さな病変が見えにくい点などいくつか問題があると思われる.
このようななか,尿中BTA(bladder tumor antigen,膀胱腫瘍抗原),尿中NMP22(nuclear matrix protein,核マトリクス蛋白質)が開発され,臨床の現場で頻繁に使用されるようになった.保険適用では,尿中BTAは膀胱癌の経過観察(膀胱内再発のチェック)に,尿中NMP22は血尿などで膀胱癌が疑われた症例に使用が認められている.本稿ではこの両者について概説する.
参考文献
1) 高士宗久,大島伸一:膀胱癌マーカー(尿中BTA,尿中NMP22).矢崎義雄,大内尉義(編):臨床検査ガイド.文光堂,pp955-957,2003
2) Takashi M Schenck U, Kissel K, et al:Use of diagnostic categories in urinary cytology in comparison with the bladder tumour antigen (BTA) test in bladder cancer patients. Int Urol Nephrol 31:189-196,1999
3) 赤座英之,宮永直人,塚本泰司,他:尿路上皮癌における尿中NMP(Nuclear Matrix Protein 22)の臨床的検討(第1報)―膀胱癌における尿中NMP22の感受性試験および経過観察での有用性.癌と化学療法 24:829-836,1997
4) 赤座英之,宮永直人,塚本泰司,他:尿路上皮癌における尿中NMP(Nuclear Matrix Protein 22)の臨床的検討(第2報)―顕微鏡的血尿を有する患者からの尿路上皮癌のスクリーニング.癌と化学療法 24:837-842,1997
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