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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 1.血液検査

4 vWF切断酵素(ADAMTS13)

著者: 矢冨裕1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学

ページ範囲:P.1096 - P.1098

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 はじめに

 血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura,TTP)は,血小板減少を引き起こす基礎疾患として極めて重要である.長らく,本疾患の原因は不明であり,類縁疾患である溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)との鑑別も困難な場合が多かった.しかし,ADAMTSファミリーに属する亜鉛型メタロプロテアーゼであるADAMTS13(a disintegrin-like domain, and metalloprotease, with thrombospondin type 1 motif13)がvWF切断酵素として2001年に単離・同定されたことにより,大きな進展が認められた.この酵素はvWFのA2ドメインに存在するTyr842-Met843間のペプチド結合を特異的に切断する.なんらかの原因によりADAMTS13の欠損,機能不全が惹き起こされるとvWFが切断されなくなり,血小板凝集活性の強い超高分子量vWFマルチマー(unusually large vWF,ULvWF)が血漿中に出現することになる.これによる血小板血栓形成の過剰促進が,TTPの発症要因と理解されるようになった.そして,この事実から推察できるように,血漿ADAMTS13の測定はTTP診断に極めて有用であることが示されている.

参考文献

1) 藤村吉博:ADAMTS13―TMAの診断と血小板輸血の重要指標.日本血栓止血学会誌 17:144-164,2006
2) 小亀浩市:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と遺伝子異常.日本血栓止血学会誌 14:40-43,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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