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文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 1.血液検査

6 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)

著者: 和田英夫1 別所由梨2

所属機関: 1三重大学医学部臨床検査医学 2三重大学医学部附属病院中央検査部

ページ範囲:P.1101 - P.1103

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 はじめに

 血栓形成後に,血栓を除去するため線維素溶解(線溶)現象は起こる.線溶現象は,プラスミノゲンアクチベータ(plasminogen activator,PA)がプラスミノゲンを活性化し,プラスミンを生成させることで開始される.プラスミンはフィブリンだけでなくフィブリノゲンにも作用し,フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product,FDP)を形成する.フィブリン/フィブリノゲンの分解過程において各種の分解産物(亜分画)が共存する.プラスミンによりフィブリノゲンのAα鎖およびBβ鎖の一部が切断されX分画となり,さらにY分画とD分画に切断され,最終的にE分画とD分画となるのが,一次線溶で産生されるFDP(fibrinogen degradation product,FgDP)である.一方,二次線溶で産生されるFDPは,血栓形成による安定化フィブリンがプラスミンにより分解を受け,互いに異なる分子に由来するD分画2分子の結合体とE分画1分子を最小単位とするさまざまな分子のXDP(Dダイマー)である(図).

参考文献

1) 青木延雄,長谷川淳:DIC診断基準の「診断のための補助的検査成績,所見」の項の改訂について,厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班,平成4年度業績報告集,pp37-41,1988
2) 和田英夫,登勉,森美貴,他:厚生省DIC診断基準を用いたDIC診断におけるGlobal Testの評価.日本血栓止血学会誌 12(3):197-205,2001
3) (社)日本臨床検査薬協会(編):体外診断用医薬品集 2004年度.
4) 安室洋子:血栓止血学的自動測定.検査と技術 33:33-39,2005
5) 遠藤武,雨宮憲彦,久米章司:線溶系分子マーカー.Medical Practice編集委員会(編):臨床検査ガイド 2003~2004
6) 金地泰典,濱崎直孝:線溶系分子マーカー.Medical Practice編集委員会編,臨床検査ガイド 2005~2006,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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