icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査

各論 2.生化学検査

3 BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

著者: 島田英実1

所属機関: 1東ソー株式会社科学計測事業部営業部マーケティンググループ

ページ範囲:P.1122 - P.1125

文献概要

 はじめに

 BNPはナトリウム利尿ぺプチドファミリーに属し,ANP(arterial natriuretic peptide,心房性ナトリウム利尿ペプチド)に続き1990年に松尾らのグループによりブタの脳より単離された.

 そのためBNPと命名されたが,その後の検討によりANP同様心臓から分泌されるホルモンであることが明らかとなった.またANPが主として心房から分泌されるのに対しBNPは主に心室から分泌されることも明らかとなった.BNPはアミノ酸32個から成り,中央にリング構造をもつユニークな環状ペプチドである.同ファミリーに属するANP,CNP(C-type natriuretic peptide,C型ナトリウム利尿ペプチド)も同様の構造をもち,リング構造部分での相同性は高い(図1).

 BNPの生理学的作用としてはANP同様,血管拡張作用,利尿作用,ナトリウム利尿作用,交感神経系およびレニン-アンジオテンシン系の抑制作用など心臓を保護し心不全の病態を改善する方向に働くといわれている.CNPは血管内皮細胞やマクロファージから分泌されANP,BNPのような心臓ホルモン的な作用は有さない.

 BNPは心筋細胞において前駆体(preproBNP)の形で合成され酵素的切断を受けてproBNP(108アミノ酸残基)となり血中に活性型BNP(32アミノ酸残基)と不活性型のN末端BNPフラグメント(NT-proBNP)の形で放出される.代謝経路としてはナトリウム利尿ペプチドのクリアランス受容体を介する機序のほか,腎近位尿細管や血管内皮に存在するニュートラルエンドペプチダーゼ(NEP)による分解を受ける.

参考文献

1) 大西正人,木之下雅彦:心不全の診断と評価―神経体液因子(BNPガイドの心不全治療).診断と治療 93:39-46,2005
2) 河邊博史,和井内由允子,斉藤郁夫,他:血漿B型ナトリウム利尿ペプチド濃度の経年変化とメタボリックシンドローム関連因子の関係―生活習慣病定期健康診断での検討.人間ドック 20:655-661,2005
3) Wang TJ, Larson MG, Levy D, et al:Plasma natriuretic peptide levels and the risk of car-diovascular events and death. N Engl J Med 350:655-663,2004
4) 蔦本尚慶,斉藤能彦(編):新BNPと日常臨床.南江堂,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら