icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術34巻11号

2006年10月発行

文献概要

増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査 各論 2.生化学検査

6 グリコアルブミン

著者: 高妻卓司1

所属機関: 1旭化成ファーマ株式会社診断薬製品部開発研究グループ

ページ範囲:P.1138 - P.1141

文献購入ページに移動
 はじめに

 血糖コントロール状態の把握は,糖尿病の治療,管理や合併症の予防において非常に重要である.特に近年厳格な血糖管理が望まれるようになり,ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c, HbA1c),グリコアルブミン(glycated albumin,GA),1,5-アンヒドログルシトール(1,5-anhydroglucitol,1,5-AG)などの血糖コントロール指標の検査が多用されるようになった.なかでもHbA1cはDCCT(diabetes control and complications trial)やUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)をはじめ合併症予防のための多くのエビデンスが示されており,第一選択となっている.

 HbA1cは赤血球寿命が約120日であることから,過去1~2か月の血糖コントロール状態を示す指標である.一方,GAは過去4週間,特に直近の2週間の血糖コントロール状態を反映する2)ことから,過去数週間の血糖コントロール状態を確認したい場合,例えば糖尿病治療開始時の治療効果の確認に有用と考えられている.治療開始時期は血糖値が大きく,急激に変化する場合が多く,HbA1cではすぐに変化を捉えることができない.一方GAは,血糖コントロール状態の変化を迅速にとらえ薬剤投与量の調整等に検査結果を生かすことができる(図1).

 また,血糖値の変動が激しい場合,厳格な血糖コントロールを必要とする糖尿病妊婦の場合やHbA1cが正しく血糖値を反映しない症例(血液透析,肝障害,貧血,異常へモグロビン血症等)においても有用な指標と考えられている2)

参考文献

1) 日本糖尿病学会編:糖尿病治療ガイド 2006-2007,p9,文光堂,2006
2) 田原保宏:血糖値をみる,考える.島健二,南江堂,pp62-69,2000
3) 阿部房江,矢野充保,弘田明成,他:HPLC法による糖化アルブミン測定法.糖尿病 32:183-188,1989
4) 高妻卓司,植松優美子,安川恵子,他:グリコアルブミンの酵素測定法.検査と技術 33:817-821,2005
5) Koizumi K, Ikeda C, Ito M, et al:Influence of glycosylationon the drug binding of human serum albumin. Biomedical chromatography. 12:203-210,1998
6) Hattori Y, Banba N, Gross SS, et al:Glycated serum albumin-induced nitric oxide production vascular smooth muscle cells by nuclear factor κB-dependent transcriptional activation of inducible nitric oxide synthase.
7) 遠藤茂樹:グリコアルブミン―新しい血糖コントロールマーカー.静済医誌 13:23-35,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら